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【第27回】健康食品で起こる健康被害について (PIO-NET情報より)

カテゴリー:専門家に聞きました
更新日:2026/02/09

独立行政法人国民生活センター 商品テスト部

福山 哲

 

もくじ

  1. はじめに
  2. 健康食品の危害情報の商品別内訳
  3. 健康食品の危害情報の危害内容別内訳
  4. 被害者の性別及び年齢
  5. 具体的な事例
  6. おわりに

 

1.はじめに

 国民生活センターの全国消費生活情報ネットワークシステム (PIO-NET:パイオネット) (注1) には、全国の消費生活センター等に寄せられる様々な商品・役務・設備に関連して、身体にけが、病気等の疾病 (危害) を受けた情報 (以下「危害情報」という) がみられますが、その中でも健康食品に関する危害情報は、過去5年間の相談件数推移をみると常に上位に入っています (表1) 。
(注1) PIO-NET (パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム) とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのことです。

表1.年度別にみた商品・役務等別危害情報件数 (上位5位) 

2020年度 (12,925件) 

2021年度 (11,293件) 

2022年度 (12,895件) 

2023年度 (12,519件) 

2024年度 (12,770件) 

商品・役務等

件数

 (%) 

商品・役務等

件数

 (%) 

商品・役務等

件数

 (%) 

商品・役務等

件数

 (%) 

商品・役務等

件数

 (%) 

健康食品 3,538 27.4 化粧品 3,271 29.0 化粧品 4,318 33.5 化粧品 3,319 26.5 化粧品 2,986 23.4
化粧品 2,668 20.6 健康食品 1,134 10.0 健康食品 1,186 9.2 健康食品 1,501 12.0 健康食品 1,875 14.7
医療サービス 757 5.9 医療サービス 851 7.5 医療サービス 957 7.4 医療サービス 1,166 9.3 医療サービス 1,255 9.8
エステティックサービス 346 2.7 エステティックサービス 385 3.4 エステティックサービス 413 3.2 エステティックサービス 443 3.5 歯科治療 401

3.1

賃貸アパート
・マンション
296 2.3 歯科治療 345 3.1 歯科治療 375 2.9 整体 404 3.2 外食 389

3.0

※参考資料 (1) より引用。
※表中の割合は、小数点以下第2位を四捨五入した値です。2025年5月末日までの登録分。消費生活センター等からの経由相談は除いています。
※「医療サービス」については、2021年度に商品別分類を変更したため、2020年度以前と2021年度以降での時系列の比較はできません。また、「整体」は2021年度に新設されました。

 

2.健康食品の危害情報の商品別内訳

 健康食品の危害情報の商品別内訳をみると、各種サプリメントやダイエット食品などを含む「他の健康食品」、「酵素食品」、「健康食品全般」 (注2) が上位を占めています (表2) 。
(注2) 「他の健康食品」は「健康食品」のうち、あらかじめ設定された具体的な分類に当てはまらないものを指します。また、「健康食品全般」は、それ以外のもので、詳細が不明なものや分類ができないものもここに含まれます。
酵素食品について明確な定義等はありませんが、一般に植物を原材料に使用し、発酵などの工程を経ている健康食品を「酵素食品」と呼称している場合が多いようです。

表2.健康食品の危害情報の商品別内訳 (上位3位) 

2020年度 (3,526件) 

2021年度 (1,131件) 

2022年度 (1,184件) 

2023年度 (1,490件) 

2024年度 (1,875件) 

商品

件数

 (%) 

商品

件数

 (%) 

商品

件数

 (%) 

商品

件数

 (%) 

商品

件数

 (%) 

他の健康食品

2,175

61.7

他の健康食品

726

64.2

他の健康食品

807

68.2

他の健康食品

890

59.7

他の健康食品

1,487

79.3

高麗人参茶

771

21.9

健康食品全般

197

17.4

健康食品全般

237

20.0

健康食品全般

272

18.3

酵素食品

132

7.0

健康食品全般

285

8.1

酵素食品

136

12.0

酵素食品

81

6.8

酵素食品

152

10.2

健康食品全般

123

6.6

※参考資料 (1) ~ (5) より引用。表中の割合は、小数点以下第2位を四捨五入した値です。各々の資料は、作成時点の検索結果をもとにしているため、件数は表1 (参考資料 (1) より引用) とは異なります。2021年度に商品別分類を変更したため、2020年度以前と2021年度以降での時系列の比較はできません。

 

3.健康食品の危害情報の危害内容別内訳

 危害内容の内訳をみると、便秘や下痢、胃痛などの「消化器障害」が最も多く、皮膚の発疹、かぶれ、シミなどの「皮膚障害」や「その他の傷病及び諸症状」 (注3) がそれに続きます (表3) 。
(注3) 「その他の傷病及び諸症状」には、脱毛、切れ毛、歯の損傷、頭痛、腰痛、発熱、精神不安定等が該当し、根本的な原因が明らかでないものが含まれます。

表3.健康食品の危害情報の危害内容別内訳 (上位3位) 

2020年度 (3,526件) 

2021年度 (1,131件) 

2022年度 (1,184件) 

2023年度 (1,490件) 

2024年度 (1,875件) 

危害内容

件数

 (%) 

危害内容

件数

 (%) 

危害内容

件数

 (%) 

危害内容

件数

 (%) 

危害内容

件数

 (%) 

消化器障害 2,207 62.6 消化器障害 638 56.4 消化器障害 699 59.0 消化器障害 823 55.2 消化器障害 1,006 53.7
皮膚障害 865 24.5 皮膚障害 295 26.1 皮膚障害 245 20.7 その他の傷病
及び諸症状
296 19.9 その他の傷病
及び諸症状
411 21.9
その他の傷病
及び諸症状
347 9.8 その他の傷病
及び諸症状
148 13.1 その他の傷病
及び諸症状
189 16.0 皮膚障害 287 19.3 皮膚障害 376 20.1

※参考資料 (1) ~ (5) より引用。表中の割合は、小数点以下第2位を四捨五入した値です。各々の資料は、作成時点の検索結果をもとにしているため、件数は表1 (参考資料 (1) より引用) とは異なります。

 

4.被害者の性別及び年齢

 年度ごとに差はみられますが、被害者の性別は、女性が多く、7~8割を占めています。また、被害者の年齢は、50歳代以上が5~8割を占めています。2024年度における被害者の性別は、女性が1,282件と68.4%を占めています。被害者の年代別では、70歳以上が658件 (35.1%) で最も多く、次いで、60歳代455件 (24.3%) 、50歳代386件 (20.6%) の順でした。

 

5.具体的な事例

 以下にPIO-NETに寄せられた具体的な事例をいくつかご紹介します (参考資料 (6) より引用) 。

消化器障害に関する相談

  • スマートフォンで広告を見て、ネット通販でダイエットサプリメントをお試し価格で購入した。商品が届き飲んだところ、下痢になったので解約を申し出たら差額精算を求められ納得できない。
  • 定期購入でお試し価格のダイエットサプリメントを注文したが、1袋を飲んだところ、下痢が続き体調を崩してしまった。解約保証期間を過ぎていたが、いつでも解約できると記載があったので解約を申し出ると、高額な解約料を請求され納得できない。

 

皮膚障害に関する相談

  • 動画投稿サイトの広告を見て数百円の筋肉増強サプリメントを購入した。飲むと発疹が出たので解約を申し出たところ、4回の定期購入が終了するまで解約できないと言われたがすぐに解約したい。

 

その他の症状に関する相談

  • インターネットで定期購入の生酵素サプリメントを申し込んだが、喉がイガイガするなどアレルギー症状が出て飲めないので解約したい。
  • インターネットショッピングサイトで花粉症に効くという健康茶を買った。2週間ほど飲んだ後、いったん飲むのを止めたら、倦怠感や微熱が数週間続く。この健康茶にはステロイドが含まれていることがわかった。

困るシニア男性とシニア女性のイラスト

6.おわりに

 健康の維持や増進を目的とする様々な健康食品が販売、利用されています。なかには、錠剤やカプセルなど医薬品を連想させる形態のものもありますが、健康食品はあくまでも食品の一種です。健康食品には特定の成分が濃縮されているものが多く、通常の食事よりも過剰な量を摂取する可能性があり、健康被害につながるおそれがあります。特に近年は、ダイエットをうたった健康食品による健康被害が多くみられます。健康食品を利用する際には、以下のような点に注意しましょう。

  • 体調に異変を感じたら、すぐに摂取をやめましょう。そのうえで、商品やパッケージ等を持って速やかに医療機関を受診しましょう。
  • 摂取している健康食品の量や期間、さらに併用している医薬品の服用状況等についてもメモを残しておくとよいでしょう。

 

 また、近年は、インターネット通信販売で、複数回の定期購入を条件として、1回目を低価格で購⼊することができる契約が増えており、健康⾷品や化粧品などの定期購入で、解約や返品ができないトラブルが多く報告されています。2回目以降が割引前の通常価格に近い価格での販売となることが多いために、条件とされた定期購入分の支払総額が高額になるケースもあるので注意が必要です。

 インターネット通信販売をはじめ通信販売には、クーリング・オフ制度はありません。購入者の都合で返品できるかどうかや、返品できる場合の送料負担などの条件 (返品特約) は、販売サイト上の表示内容に従うことになります。返品特約の表示がない場合には、商品到着後8日間以内であれば、購入者が送料を負担して返品をすることができます。個々の契約により返品の条件は異なるため、注文前には必ず内容を確認しておきましょう。

参考資料

 (1) 2024年度 全国の危害・危険情報の状況-PIO-NETより- (独立行政法人国民生活センター) 
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20250910_1.html

 (2) 2023年度 全国の危害・危険情報の状況-PIO-NETより- (独立行政法人国民生活センター) 
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20240911_1.html

 (3) 2022年度 全国の危害・危険情報の状況-PIO-NETより- (独立行政法人国民生活センター) 
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20230906_4.html

 (4) 消費生活年報2022 (独立行政法人国民生活センター) 
https://www.kokusen.go.jp/pdf_dl/nenpou/2022_nenpou.pdf

 (5) 消費生活年報2021 (独立行政法人国民生活センター) 
https://www.kokusen.go.jp/pdf_dl/nenpou/2021_nenpou.pdf

 (6) 健康食品の危害 (独立行政法人国民生活センター) (2025年8月1日:更新)
https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/hf_harm.html

 (7) その申込み、定期購入になっていませんか?もう一度「最終確認画面」をチェック!-依然として多い通信販売での「定期購入」トラブル- (独立行政法人国民生活センター) 
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20240131_1.html

 (8) 1回だけ試すつもりが、翌月も送られてきた健康食品 (独立行政法人国民生活センター) 
https://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-faq_qa2017_33.html

福山 哲 略歴

独立行政法人国民生活センター 商品テスト部
東京薬科大学大学院薬学研究科 修了。1996年より国民生活センター (現 独立行政法人国民生活センター) に勤務。
商品テスト部に所属。主に食品・日用品の商品テストを実施しつつ現在に至る。

 

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