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【第28回】健康食品中に含有する医薬品成分の現状について

カテゴリー:専門家に聞きました
更新日:2026/02/27

千葉県衛生研究所 上席研究員

吹譯 友秀

 

もくじ

  1. 健康食品とは
  2. 医薬品成分とは
  3. 健康食品による健康被害
  4. 健康食品中の医薬品成分の検査
  5. 健康食品中に含有する医薬品成分の現状
  6. まとめ

 

1.健康食品とは

 健康食品は法律上の定義はなく、医薬品以外で口から摂取されて、健康の維持や増進に特別に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して飲食される食品とされています (1) 。健康食品は様々な形態のものが販売されており、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤といった皆様が一般的に想像するような形態の他に、飴、ゼリー、はちみつ状の形態といったものも近年では流通しています。

図1.食品と医薬品の区別

 

2.医薬品成分とは

 医薬品成分といえば、病院で処方される薬やドラッグストアで購入した市販薬に含まれる有効成分を想像すると思います。もちろん、それらは医薬品成分に該当します。
 一方で、食品になるのか医薬品になるのかを判断するためには、食薬区分 (2) を参考にします。食薬区分とは、「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料) リスト」と「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) リスト」があり、原則、前者のリストに記載されている植物由来物等や動物由来物等、化学物質等が医薬品成分に該当します。そのため、これらを含有した健康食品は医薬品成分を含有するため、無承認無許可医薬品となります。日本では、医薬品を製造し販売する場合、薬機法に基づく承認等が必要ですが、医薬品成分を含有する健康食品はそれらを取得していないため薬機法違反となります。 したがって、健康食品中には医薬品成分は含まれていてはいけません。

 

3.健康食品による健康被害

 医薬品成分が含有される健康食品を摂取したことで健康被害が発生した事例があります。平成14年、医薬品成分が含有した中国製ダイエット用健康食品を摂取したことによる死亡事例が発生しました (3) 。含有していた医薬品成分は日本では医薬品として承認されていない「N-ニトロソフェンフルラミン」という成分でした。また、近年でもベトナム製ダイエットゼリー中に同じく日本では医薬品として承認されていない「シブトラミン」が含有されており、摂取により動悸、口喝、頭痛、めまい等の健康被害が発生した事例もあります (4) 。これらの事例のように、医薬品成分を含有した健康食品は健康被害の引き金になり得ます。

4.健康食品中の医薬品成分の検査

 健康食品による健康被害の発生を未然に防止する目的で、千葉県では、主に精力増強 (強壮効果) や体重減少 (痩身効果) を標ぼう・暗示した健康食品を購入し、医薬品成分が含有しているか否かの検査を実施しています。検査により医薬品成分が含有されていることが確認された健康食品は、速やかに市場から排除し、県のホームページにも掲載することで、情報提供も行っています。
 医薬品成分を含む化学物質は、物質ごとに紫外線を吸収する性質や質量が決まっています。その性質を利用して検査を実施しています。なお、紫外線を吸収する性質を示したものを紫外吸収スペクトル (UVスペクトル) 、質量を測定したものをマススペクトルと呼んでいます (それぞれの例示を図2に示しました) 。実際の検査では、基準となる医薬品成分と健康食品を同じ条件で検査し、成分が検出されるまでの時間、UVスペクトル及びマススペクトルを比べます。同じ結果が得られた場合には、健康食品中に医薬品成分が含有していると判断しています。また、医薬品成分には化学物質だけでなく、センナの小葉 (センナ葉) のような植物も含まれています。ダイエット用の健康茶にセンナ葉が含まれることがありますが、その場合には、茶葉の部分を取り出し、顕微鏡等を用いて、センナ葉の形態学的な特徴を確認し、含有の有無を判断しています。ここでは細かな検査方法の説明はしませんでしたが、興味のある方は私の書いた論文 (5) をご確認ください。

 

図2.シブトラミンのUVスペクトル (左) とマススペクトル (右)

 

5.健康食品中に含有する医薬品成分の現状

 千葉県において2014年度~2021年度に702製品の健康食品を購入し検査した結果 (5) 、強壮効果を標ぼう・暗示した健康食品25製品から、シルデナフィルやタダラフィル等の性機能改善効果を有する医薬品成分が検出され、痩身効果を標ぼう・暗示した健康食品3製品からセンナ葉や満腹感を増す作用があるとされる5-HTPという医薬品成分が検出されました。これら製品の生産国は明確に記載されていないものもありますが、28製品中14製品が外国製であり、明確に日本製であることが確認できたのは28製品中4製品でした。外国の場合、日本の規制と異なり、日本で医薬品成分に該当しても外国では該当しないこともあるので、個人輸入等により外国から直接健康食品を購入する場合には、注意が必要です。
 健康食品に含有する医薬品成分については、その含有量を測定しています。一例を示しますが、2017年度に検査した強壮効果を暗示・標ぼうした韓国製の錠剤からはシルデナフィルが1錠当たり73 mg検出されました。シルデナフィルの1日最高投与量は成人で50 mgとされています。含有されていた量はこの値を超えていたことから、健康被害が発生してもおかしくないと考えられました。この製品以外にも1日最高投与量を超える製品もあり、健康被害発生防止のために健康食品を購入し、検査を実施することは一定の効果があると考えられます。

 

6.まとめ

  千葉県では、医薬品成分が含有される健康食品による健康被害の発生を防止するために検査を実施していますが、すべての製品を検査し、市場から排除することは困難です。さらに、強壮効果や痩身効果を標ぼう・暗示した健康食品に医薬品成分が含有している事例があります。このため、健康食品を摂取する際は過剰摂取に注意するととともに医薬品との併用を自己判断せず、身体の不調を感じたら直ちに摂取を中止し、速やかに医療機関を受診する必要があると考えます (6) 。

参考資料
 (1)  いわゆる「健康食品」のホームページ,厚生労働省ホームページ (令和7年11月18日閲覧) 
 (2)「食薬区分における成分本質 (原材料) の取扱いの例示」 (令和2年3月31日付け薬生監麻発 0331 第9号) 
 (3)  個人輸入した未承認医薬品等の服用後に発生した健康被害事例について,厚生労働省ホームページ (令和7年11月18日閲覧) 
 (4)   医薬品成分を含有する製品による健康被害 (疑い) の発生について,厚生労働省ホームページ (令和7年11月18日閲覧) 
 (5) 食品衛生学雑誌,千葉県が買上げした健康食品から医薬品成分が検出された事例 (2014年度~2021年度) ,2022,63,141-150
 (6) 健康食品Q&A,消費者庁 

 吹譯 友秀 略歴
 千葉県衛生研究所 上席研究員 博士 (薬科学)

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