カルシウムは炭酸カルシウムとして添加している。炭酸カルシウムは使い易いことから、最も繁用されているカルシウム剤の1つである。カルシウムの補填や強化の目的で、フィッシュソーセージ以外にも健康食品を含めた様々な食品に使用されている。
【関与成分の構造式】
炭酸カルシウム
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カルシウムは生体内において筋収縮や血液凝固、情報伝達等の重要な役割を担っており、その濃度は副甲状腺ホルモン等の働きで一定に保たれている。一方で体内のカルシウムは大部分が骨の構成成分として存在し、体内のカルシウム量が不足した場合は副甲状腺ホルモンの作用で骨中のカルシウムから供給される。慢性的なカルシウムの摂取不足は骨密度の減少や骨組織における微細構造の変化を招き、骨粗鬆症の原因となる。特に女性は閉経期以降、急激に骨量が減少するため高齢期では男性よりも症状が重篤化しやすい。骨粗鬆症予防という観点でのカルシウム摂取の有効性については、疫学調査やカルシウムの錠剤を用いた臨床試験等の結果、日常的に十分な量のカルシウムを摂取することが高齢期の骨量を維持するにあたり有効であったことを報告している。また日本人における骨粗鬆症予防に対する有効量については、厚生労働省の研究班が有効性を検証した観察研究、介入研究、及びメタアナリシス・系統的レビューの論文からなるメタアナリシスの結果、300 mgから700 mgと報告している。
(PMID1874931) J Clin Endocrinol Metab. 1991:73(3);533-40. (PMID:1922205) N Engl J Med. 1991:325(17);1189-95. (PMID:1729617) N Engl J Med. 1992:326(6);357-62. (PMID:10648270) Am J Clin Nutr. 2000:71(2);544-9. (1) 新特定保健用食品制度に関する基準等策定のための行政的研究・中間とりまとめ.2004 (2) 食安新発第0201003号 (平成17年2月1日)
原子吸光光度法にて行う。 磨砕した試料を灰化後、放冷し、塩酸溶液を加えて溶解させる。本溶液を希釈し、さらに塩化ストロンチウム溶液を加えて定容したものを測定サンプルとし、原子吸光度計で測定する。 参考: (1) 五訂日本食品標準成分表分析マニュアル. 1997, 科学技術庁資源調査会食品成分部会資料
食経験: 同一食品を特定保健用食品の許可取得以前から、非特定保健用食品として販売してきた実績がある。本品に起因するような健康上の問題は生じていない。 なお基礎となるフィッシュソーセージは、50年以上にわたり全国で販売を行っており、本商品に起因するような健康上の問題は生じていない。関与成分である炭酸カルシウムも食品添加物に定められているものを使用しており、十分な食経験がある。 さらに食品サイズやカルシウム配合量等が異なるフィッシュソーセージについても販売の実績がある。これらの中には保健機能食品や特定保健用食品も含まれるが、同様に健康上の問題は生じていない。 研究1: 骨粗鬆症予防に寄与しうる食品研究の一環として、メタアナリシスにより骨粗鬆症予防効果が示された、一日摂取目安量あたり400 mgのカルシウムを配合したフィッシュソーセージの過剰摂取時の安全性を評価した。 試験はオープン試験形式のヒト臨床試験で行い、20名の健常者が推奨の3倍量を、食事とは別に、4週間連続して摂取した場合の影響を検証した。評価は有害事象の確認、理学検査、臨床検査及び栄養調査を行った。 4週間の摂取期間、及び摂取期間終了後に設定した2週間の後観察期間において臨床上問題となる変動は認められなかった。 以上の結果から、本フィッシュソーセージを日々の食事とは別に日常的に摂取しても常識的な範囲で摂取を行う限り安全性に問題はないと考えられた。
(1) 日本食品科学工学会誌. 2010:57(4);163-170
研究1: 食品の保存安定性を評価し、賞味期限を設定する目的で、実ラインで製造した3ロットについて一般的に当該食品類に対して行なわれている保存試験、つまり製造後室温下で保管し、製造後、 1ヶ月、 2ヶ月、 3ヶ月、及び 4ヶ月の各経点で取り出したものを評価することで行った。その結果、保存期間をとおして (社) 日本缶詰協会 魚肉ソーセージ部会の“魚肉ハム・ソーセージの賞味期限のガイドライン”の基準を満たし、関与成分であるカルシウム量の減少も観察されなかったことから、本食品は賞味期限である3ヶ月間をとおして、安定した品質を保ちうると考えられた。 参考: (1) 魚肉ハム・ソーセージの賞味期限のガイドライン
研究1: カルシウムの摂取と骨粗慈症に対するリスク低減効果の関係については、平成16年度に厚生労働科学特別研究事業という位置付けで研究が行われた。本研究においては世界中で行われた試験 (4つの観察研究、5つの介入試験、4つのメタ分析、または系統的レビューなど) を対象として、カルシウムの摂取量と骨密度や骨塩量、骨折発生率等の関係についてメタ分析が行われた。本研究の結果、1日の摂取量が300~700 mgの範囲内であれば有効性については明らかであると報告された。 研究2: 295名の更年期白人女性 (46-55歳) にカルシウム錠剤として、1日あたり0 (対照) 、1,000、または2,000 mgを2年間服用させた。その結果、両カルシウム摂取群は対照群と比較して腰椎の骨量減少の抑制効果が認められた。またカルシウム摂取群の腰椎骨量の減少は対照群より低かった。この骨量減少に対する抑制効果は介入後1年では顕著にみられたものの、2年後には示されなかった。
(1) 食安新発第0201003号 (平成17年2月1日) (PMID:1874931) J Clin Endocrinol Metab. 1991:73(3);533-40.